子供との関わりが切ないマンガ
「37.5℃の涙」は椎名チカ作のコミックで、ちょっと珍しい訪問型の病児保育士という仕事をしていく中で出会った人たちを描いています。
恥ずかしながら私自身、こうした「37.5℃の涙」に描かれるような病児保育士という仕事についてはよくわかっていなかった部分も多くとても参考になりました。
マンガというフィクションなのでそのまま現実であると思ってはいけないのかもしれませんが、とても良く調べられているのかリアルに子供とその保護者たちの姿が描写されているのでとても読んでいて引き込まれます。
全三巻で終了してしまったのはとてもおしいと感じるところですが、一話ずつがしっかりとまとまっているのでこのくらいの長さでちょうどいいのかなというような気もします。
子供の病気と周囲の対応
タイトルが既に示しているように、内容の主軸になっているのは自分だけでは病気に対応をしていくことができない子供たちです。
我が子の病気というと親ならば気持ちも焦って出来る限りのことをしてあげたいと思うところなんでしょうが、全く医学の知識も経験もない若い親たちが熱けいれんのようなどうしていいかわからない症状に直面したらどうなってしまうのかということがうかがえてきます。
実際の保育の現場にいる方や子育て中の知人に聞いてみると、こういう病児保育士を頼むことができるというのはかなり経済的に余裕のある家庭に限られるそうなので、そうするとますます「子供の世話をしていると収入が減る、収入が減ると子供のための養育費用が作れなくなる」というジレンマがくっきりと浮き上がってきますね。
とにかく読むたびにいろいろと考えさせてくれる作品です。